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思いがけずコーヒーサービスで独立 最終目標は顧客1000件

日経BPムック 独立を考えた時に読む本 日経ベンチャー編

独立のきっかけ-独立志向ないが 義父の誘いで決意

オフィスでも入れ立てのレギュラーコーヒーでひといき……今ではけっしてめずらしい風景ではない。25年前、オフィス・コーヒー・サービスを日本ではじめて事業化したのがダイオーズだ。

清水幸彦さんが、東京都八王子市で開業したのは、1992年。大学を卒業後、レコード会社勤務を経て、一時はプロミュージシャンを志したという経歴を持つ。加盟当事は、音楽活動の傍ら、プロモーションビデオの制作会社に勤めていた。

清水さんは、それまで特に独立志向があったわけではない。一生サラリーマンでよいと思っていた。

きっかけは、岐阜県でダイオーズのオーナーをしている義父から誘いを受けたことだ。東京都西部で手広く事業をしているオーナーが八王子方面の営業権を切り離して譲渡したがっている、という話だった。

本部選び-信頼できる本部の対応 新しい世界に飛び込む

義父の話から利益率が良いと思った清水さんは、加盟を決意した。当事はまだ、オーナーといえば年配者がほとんど。「自分のような若造で大丈夫か」と思ったという。しかし、本部は、若輩扱いすることもなく、ていねいに対応してくれた。事業のパートナーとして信頼できると思った。

改めて決心を固めた清水さんは、音楽仲間一人と有限会社を設立し、これまでとはまったく違った世界に飛び込むことにした。

開業準備-資金は叔父の退職金 前任者について研修

事業を始めるには資金が要る。加盟金、備品購入代、運転資金を含め、1000万円が必要だった。「ちょうど公務員を退職したばかりの叔父がいて、交渉したら退職金を貸してくれました」

叔父からは、1300万円借りた。もちろん無利息ではない。本部の加盟前研修を受け、前オーナーから150件の顧客を譲り受けた清水さんは、前任者についてルートを回る実地研修に入った。

前任者はていねいなメンテナンスを当然と考える人だったので、多くのことを学べたという。

開業後-開業直後の解約が教訓 守りから攻めの営業に

「譲り受けた顧客は自分のもの」と思っていた清水さん。磐石な基盤でスタートしたはずだった。ところが、開業直後、「解約したい」という客が出てきた。

「話が違う、とびっくりしました」

楽に儲かると考えていた自分の甘さを思い知らされた瞬間だった。ダイオーズの平均解約率は12~15%だという。しかし、その土地の風土やオーナーの人柄によって大きく差が出る。客を失う痛手を開業当初に経験した清水さんは、10年間の平均解約率を6~10%に抑えている。

例えば、競合会社が営業をかけてきたとき、客をつなぎとめるものは何か。「お客様にいつも気持ちよくコーヒーを飲んでいただきたいという気持ち」と清水さんは言う。せっかく入れたコーヒーも、メーカーの周辺やポットが汚れていては、美味しさが半減してしまう。補充に回った際には、整理整頓を心がけ、メーカーもきちんと洗ってくるという。自分も飲みたいと思う環境を整えてくるのだ。

守るだけではなく攻めなければ業績は伸びない。八王子駅周辺のオフィスをしらみつぶしに営業した。しかし、そうは簡単に契約はとれない。

「獲得できないお客を数え、マイナス思考になっていたんです」

そんなとき、年に一度のオーナー会で、「今は他社に預けているお客さんを返してもらえよ」というアドバイスを受けた。

目から鱗が落ちる思いだった。それから、既にコーヒーサービスを導入しているところに重点的に営業をかけた。他者のサービスに少しでも不満があれば入り込むチャンスだ。

顧客は10年間で300件に増えた。爆発的に伸びたわけではないが、着実に右肩上がりの成長を続けている。3年前には増資して株式会社にした。この先2年間で、500件を目標にしたいという。

ダイオーズでは、新製品のピュアウォーターをラインナップしたばかりだ。いけると思った清水さんは、専従者をおいて営業し、全加盟店で6位の成績を上げた。この夏はこれで勝負をかける。

「最終的には1000件を目指したい」と、「野望」を語ってくれた。

(増田葉子
日経BPムック 独立を考えた時に読む本 日経ベンチャー編 2002年3月 )

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